今年8月に発表された岡田拓郎のソロアルバム『Betsu No Jikan』。そのリリース記念ライブが終わった、やや落ち着いた時期に、岡田拓郎へのインタビューを行なった。本稿はそこで話したことをふたつに分けたうちの一本だ。
アルバムの音楽を紐解いたり、ライブのレポートを綴ったりするために話を伺うのではなくて、少し立ち止まってみて感じたり、考えたりしてきたことを、ゆっくりと伺いたい、という心持ちでインタビューには臨んだ。その結果として、一度で掲載する記事では収まらないボリュームの話になった、という次第だ。
今回のライブも含めて、ミュージシャン、ギタリストとしての岡田拓郎がいまいる場所と、かつていた場所をめぐる話からはじまる。それは、ライブで新鮮な聴取体験をもたらした、モチーフがあるなかでのインプロビゼーション(即興演奏)、その演奏の背景にあることを丁寧に伝える話でもある。そして、正統的な響きを得られる一方で、破壊にまで至る響きも誘発するエレクトリックギターという特異な楽器とギタリストについての話、さらに、言葉の話へと続いていく。